2020年5月14日、弊所の望月健太(ニューヨーク州弁護士)が、東京大学公共政策大学院(GraSPP)の事例研究「企業の技術戦略と国際公共政策」にて、「デジタル産業分野における国際渉外活動」をテーマに講義を行いました。
本事例研究は、企業が、経営戦略として公共政策形成にいかに関わるか、特に国際ルールの形成にどのように関わり、どのように国際ルールを利用しているのかの実務を学ぶことを狙いとするものです。米谷三以客員教授と中川淳司講師が、各回に企業実務家を招きながら共同開催するものです。
本講義では、グローバルで変化が激しいデジタル市場における日米欧中の政策動向について紹介した後、具体的な事例とともに、日本企業による国際ルールメイキングへの参画が非常に重要であることを説明しました。そして、グローバルなデジタル市場で日本企業が勝つためには、技術開発力の維持・向上のみならず、ルール形成戦略が不可欠であり、日本企業は、法令違反時の当局対応等といった「守りのロビー」のみならず、自社が競争上有利になるようなルールを設定する「攻めのロビー」も積極的に行う必要があると述べました。
なお、当日は株式会社メルカリ・政策企画ディレクターの吉川徳明氏も出席、「企業から見た日本の政策形成―IT業界における政策渉外を例にー」をテーマに講義を行いました。吉川氏、並びに望月も参加する形で、質疑応答やディスカッションも活発に行われ、有意義な講義となりました。
デジタル産業分野においては、その変化のスピードが極めて速く、こうした状況下においては、民間企業がアジャイルなルール形成を自社の社会的責務として捉えるという意識が非常に重要です。官民が緊密に連携し、日本の産業競争力強化に資するルールやポリシーメイキングが進められるよう、側面支援していきます。